事故の周期説
柳田邦男氏の著書「死角―巨大事故の現場」で、航空機事故の周期性について興味深い仮説を述べられていたので、紹介します。
航空機は、不思議とある時期に連続して事故が発生し、その後しばらく事故の少ない時期が続き、それからまた連続事故を起こす、という傾向があるという。周期は5年程度。このような周期性が生じる原因として以下のような理由が考えられ、これらが複合して発生するという仮説です。
- 大事故があると、普段報道されない小事故まで探し出して報道されるので、実際以上に周期的な波があるように感じられる。
- 事故後は安全対策が徹底されるが、やがて慣れてくると遵守されなくなる。
- しばらく事故が無いと、利益重視のため安全対策を緩和してしまう。
- 現場の人間が世代交代し、事故の教訓やノウハウが伝わらなくなる。
- 機種や使用技術が変わり、過去の機種の教訓があてはまらなくなる。
- 機体の老朽化(疲労)によるもの。
(1)は、昨年の自動車の発火事故や、今年の列車事故、飛行機の部品脱落、はては警察官の不祥事や、年金未納問題の報道のようなものです。
事故があると、マスコミがよく槍玉に挙げるのは(2)と(3)に現れる企業体質です。これは精神論だったり、経営方針の問題で、ちょいと私の守備範囲外。
工学の立場からの事故防止対策として関心があるのは、(4)~(6)の現象ですね。現在のところ、
(6)に関して、いま古いのはB-747やDC-10の初期型ですかね。
(5)に関して、たとえば新しい機種のB-767や777の事故例が少ないので、なにか未発見の欠陥を秘めているかもしれません。GPSや複合材料といった新技術に関連して、今までに無い新しい事故の起こり方があるかもしれません。
そして、これらは航空機だけの現象ではなく、鉄道,原発など大規模システムに共通した問題です。
現実問題としてコストとのトレードオフも考えねばならず、考えうる安全対策をすべて実行できるとも限りません。事故というものはゼロにすることができないものですが、せめて同じ原因の事故は繰り返さないように、工学の側から貢献できたらよいと願います。
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