今日は、JAXA総合技術研究本部(調布)へ出張。エレクトロ・ダイナミック・テザーに関する研究打ち合わせです。
打ち合わせが予定より早く終わり、夕方少し時間ができたので、同行の学生2名も誘って、折しも銀座で開かれている、「池下章裕 リアル・スペース・アート展 はやぶさから未来へ」を見に行きました。有楽町駅で下車し、webからダウンロードしておいた地図を頼りに、柴田悦子画廊へ。銀座にはこのような小さな画廊がたくさんあるのは知っていましたが、訪れるのは初めてです。
平日の午後5時少し前だったせいか、客は我々だけ。オーナーの柴田さんに、にこやかに迎えられ、「九州から来ました(仕事のついでですが)」と告げると、驚き、喜んでくれました。そういえば、芳名帳で私の前は徳島のプラネタリウム「あすたむらんど」の方でした。今日は、遠方の客の当たり日ですね。
ちょっと席を外していたところだったのでしょうか、観覧し始めてすぐ、作者の池下さんが戻ってこられ、いろいろとお話を伺いながら作品を観ることができました。サンプラーホーンの貫通強度試験を、九大が担当したこともご存知だったのにはびっくり。
今回の展示の中心となるのは、臨場感あふれる「はやぶさ」の勇姿の数々。M-Vの打ち上げに始まり、イトカワへの接近、降下、ミネルバ放出、そしてタッチダウン、プロジェクタイル発射、の各フェーズの絵。イトカワ表面については、観測結果を反映した、大岩ゴロゴロのバージョンも追加制作されていました。(さらに「犬座り」状態の絵も描こうかな、とおっしゃっていました。)
続いて、地球帰還、カプセル分離、パラシュート開傘の想像図を見ると、「この絵が現実になって欲しい。帰ってこい、はやぶさ!」と願わずに居られません。
その隣は、火星軌道上の「のぞみ」の絵です。「恐るべき旅路」が思い出され、切なくなります。
それから、Voyager, New Horizons, JIMOなど米国の探査機。木星や土星の衛星地表からの風景、未来の想像の宇宙探査、など。探査機が未踏の天体の風景は、最新の観測結果を反映させつつ、イマジネーションも入るわけですが、それも科学的考察に基づいたものです。これらの絵から、池下氏はアーティストである上にサイエンスの造詣も非常に深いことが分かります。「科学者あるいはエンジニアの目から見て、疑問に思うところがあったら教えてください。」とのこと。
はやぶさ到着以前に描かれたイトカワ表面も、想像する過程でのお話を伺うことができました。また、土星の大気上層から眺めた、雲海の向こうから立ち上がるリングの絵では、地平線付近の大気による屈折の影響で、リングが歪んで見えるかもしれない、という説があるそうです。
途中で、発明協会の方が訪れ、雑誌「発明」に掲載する写真のモデルとして参加させてもらいました。作品を解説する池下氏と、感心して眺める来観者、という構図で。
「格好いい」「こんな宇宙船を作りたい」「こんな世界に行ってみたい」と思えるような、リアル・スペース・アートを眺めると、これからの研究へのモチベーションが上がりますよ。今週いっぱい、2月4日までですので、近郊のかたは是非覗いてみてください。
私の趣味につきあわせた学生たち、ちょっと困惑していたかな。
JAXA/ISASイベント情報より
「宇宙航空研究開発機構/宇宙科学研究本部」主催 池下章裕 リアル・スペース・アート展 はやぶさから未来へ |
昨秋、小惑星イトカワへの着陸で大きな話題となった探査機「はやぶさ」。その勇姿をCGで見事に表現し、実写を超えている、と現場の研究者たちをも唸らせた池下氏、初の銀座個展である。その透明な世界をご堪能ください。 |
日時: | 2006年1月28日(土)~2月4日(土) AM12:00~PM7:00(日・祭日はPM6:00) |
場所: | 銀座 柴田悦子画廊 東京都中央区銀座1-5-1 第3太陽ビル2F TEL:03-3563-1660 |
関連リンク
最近のコメント