「国産ロケットはなぜ墜ちるのか」
今回の帰省の復路に読んだ本。
2004年出版の本で、ずっと読み損ねていたもの。
卒業生が研究室に寄贈していったものがあり、今回借りて読みました。
この本が執筆された2003年後半には、
・H-IIAロケット(情報収集衛星、第2ペア)の打ち上げ失敗
・「みどり2」の機能喪失
・「のぞみ」の火星周回軌道投入断念 (原因はずっと前)
といった事故が続き、ちょうど宇宙三機関統合や、中国初の有人宇宙飛行とも重なり、日本の宇宙開発のありかたについて、世論が厳しくなっていた時期です。
松浦氏の作風として、官(NASDA含む)には厳しく、学(ISAS含む)を応援するところがあります。本書でも、政治家や官僚は衛星について理解しないまま、気象衛星は長年にわたり冷遇し、情報収集衛星は拙速にGOサインを出した、と手厳しく責めています。状況証拠で「理解していなかった可能性が高い」と誘導するあたり、ちょっと強引で「そこまで攻撃的に言っちゃって大丈夫?」と感じましたが、宇宙開発の現状を憂えればこそ、官を敵に回す覚悟で憤りをぶつけられたものと察しました。氏のジャーナリストとしての能力を活かし、PRの下手な研究者・技術者の代わりに、矢面に立ってでも論陣を張ってくれたのでしょう。我々、学の側からするとありがたい論客です。
さらに出版直後には、M-Vロケット(ASTRO-E)が失敗しています。これも盛り込めていたら、ISASが低予算で充分な回数の燃焼試験ができなかったことを、もっと掘り下げて訴えられたのでしょうね。
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