相乗り衛星…縁の下のGSN
1月21日(水曜)に、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)と相乗りで、たくさんの小型衛星が打上げられます。
世間の関心はロケットと人工衛星に集まりますが、衛星が分離されたあとは通信の「地上局」(Ground Station)の出番です。彼らの活躍にも注目して下さい。
主な役目は、
・衛星の軌道を追跡(Tracking)
・衛星の状態を受信(Telemetry)
・衛星に指令を送る(Command)
頭文字を集めてTT&Cとも言われます。
これが、衛星を生かしておくための最低限の仕事。
加えて、衛星を活かすための、ミッション系の通信が行われます。
地上局が無ければ、衛星はただ飛んでいるだけの記念品になってしまいます。
そして、大学の衛星プロジェクトの間では、GSN (Ground Station Network) というインフラが整備されつつあります。これは各地の大学の地上局をインターネットで結び、ある地上局が利用できないとき、他の局に通信を代行してもらい、運用効率を高めようというもの。
地上局が利用できない場合、というのは、例えば、
・故障
・地理的条件
・電波状態(とくに関東の都市部では、違法無線局による混信)
もちろん、自局が正常に使える場合でも、他局にバックアップとして並行して受信してもらえれば、通信エラー率が改善されます。
さて、今回の打ち上げは、種子島から南に向かい、地球を南北に回る軌道に投入されますので、衛星が分離されて最初の一周で北から戻ってくる(「First Pass」と言う)ころ、地球の自転で日本はやや東に移動しており、衛星は中国上空を飛ぶことになります。すると、東日本からは条件が悪く、GSN参加校の中では九州大学が最高のロケーションとなることが分かりました。
このようないきさつで、我々九大の地上局KUGS(JF6ZWK)チームも、他大学の衛星のFirst Passの受信を引き受けることになりました。九大は今回の相乗り打ち上げの選に漏れたものの、このような形で全体の計画に参加できてうれしいです。
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そんな縁の下の力持ちである、地上局を舞台にした映画があります。「月のひつじ」(原題:The Dish)
アポロ11号の月着陸のTV中継は、当初予定のアメリカの地上局で受信することができず、オーストラリアのパークス電波天文台が動員されました。その実話に基づいた映画です。世界が注目する中、世紀の重責を担わされた田舎の電波天文台の、活躍というか騒動を描いています。
その状況が似ているかも、と思って。今回の地上局担当の学生に貸してみました。KUGSのアンテナはパラボラじゃなくて、八木アンテナだから、「The Dish」に対して「The Fishbone」かな?この時期にこの映画を見せて、モチベーションが上がるか、かえってプレッシャーを与えてしまうか、諸刃の剣ではあるが。
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