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2005年6月16日 (木曜日)

円錐曲線軌道

だいぶ前の話になりますが、有名科学雑誌の別冊単行本(書名は忘れてしまった)を、書店でパラパラと見ていたら、3種類の円錐曲線軌道の説明で、トホホな図を見かけました。

こんな感じでした。
20050616orbits
放物線軌道と、双曲線軌道の形が変です。監修者さん、がんばれ~。

宇宙工学や天文学を学んだ者なら、瞬時に「おかしい」と思うでしょうが、理系でも軌道力学を学んでいないと、「放物線軌道」をこう描いてしまうのは無理もないことだと思います。高校の物理学で学んだ放物線運動を想像してしまうためでしょう。私の経験でも、宇宙に縁がなかったメーカーさんや、研究者さんに説明するときは、とくに放物線軌道は、この図のように誤解されやすいので気をつけます。

この図で「放物線軌道」として描かれているのは、いわゆる弾道軌道、円錐曲線の分類としては楕円軌道に属し、その遠地点付近だけが地上に出て、近地点が地中に潜っている状態です。
(空気力を無視すると)もちろん地上で人間が投げたボールが描く放物線も、厳密には非常に細長い楕円軌道を描いており、楕円のごく一部だけが地上に出ている状態。上昇高度や飛距離が地球の大きさに比べて非常に小さいとき、その運動は近似的に放物線となる訳です。

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2006年3月15日 追記

この本です。

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航空・宇宙・天文」カテゴリの記事

コメント

高校の物理学で出てくる放物運動は楕円のごく一部を切り出して放物線で近似しているのではなく、地表付近の重力を一様と近似した場合の運動ではないでしょうか。

投稿: おーの | 2005年6月16日 (木曜日) 22:39

高校物理の放物運動と、楕円軌道との関係を説明したかったもので、幾何学的な説明から入りました。
「上昇高度や飛距離が地球の大きさに比べて非常に小さいとき」と言って、その範囲内で『重力を一様と近似』を述べようと思っていたのですが、文章を見返してみたら全く書いてませんね。編集しているうちに忘れてしまったようです。
フォローありがとうございました。

投稿: ごんざぶろう | 2005年6月17日 (金曜日) 02:31

高校での授業は覚えていないし、今の高校の物理がどうなっているのか知らないのですが、放物運動の説明の時点で、「重力は地球中心からの距離の二乗に反比例するけど、狭い範囲では一様と近似する」という説明もついてくるのでしょうか。物を落したり投げたりする実験から入ると、一様重力が近似かどうかは後回しになりそうです。
あと、重力を一様と近似すると放物運動が放物線というのと、楕円軌道の近心点付近が放物線で近似できるというのは、物理的・数学的に等価なのでしょうか。

投稿: おーの | 2005年6月19日 (日曜日) 03:24

返事が遅くなってすみません。
(おーのさんに、物理で突っ込まれると、びびってしまって・・・)

私も、高校で物理を習ったときの、おぼろげな記憶で書いていますので、記憶違いによる誤りがあったら指摘ください。

高校の物理では、放物運動が登場する時点で、重力加速度は定数のg=9.8m/s^2。それが変化するなんて、この時点では思いもしない。
それから、万有引力が出てきて、遠心力との釣り合いから円軌道の運動と第1宇宙速度導く。
楕円運動について、ケプラーの法則のところで言葉は出てきたかもしれないが、式では表さない。エネルギー保存の法則から、近地点速度と、無限遠での速度の関係、そして第2宇宙速度を導くが、放物線軌道と双曲線軌道は登場しない。(うちの教科書の模式図では、地球近傍のある点で初速を与え、鉛直に無限遠へ投射するような図でした)
以上、地上の放物運動と軌道の運動についての接点は、万有引力による加速度の地表での値が、(自転の影響など無視して)重力加速度と一致することを確認するくらい。件の地表近傍の近似という考えかたはありません。そして、運動の理論はそれぞれに公式で与えられるのみで、間の関係を感じさせません。


ところで、若干、コメントがかみ合っていないように感じたのですが、

私が指摘したかったのは、3種の円錐曲線軌道を理解した読者むけに、
(1)高校では軌道運動としての放物線軌道を習わないから無理もないが、円錐曲線軌道を学んでいない人に「放物線軌道」というと、この図のような弾道軌道を想像されることが多い。
(2)弾道軌道も、円錐曲線軌道の3分類でいうと楕円軌道に属する、というのは意外で面白いのではないか。(大学の物理で楕円軌道の運動を教わっても、近地点が地中に入る例題は少ないと思います。宇宙工学分野では珍しくないですが、天文学分野では?)
(3)長楕円軌道の遠地点近傍は、数学的に放物線に近似でき、それは物理的には重力一定の場合の放物運動を意味する。

一方、おーのさんが議題にしたいのは「高校の物理ではどう教えるべきか」という観点だったのでしょうか。でしたら、おっしゃるとおり、一様重力での放物運動のように、まず理想的な条件下での運動の基礎を、習得してもらうべきということに賛同します。
(外していたら、またコメントください)


(驚いたことに、MS-IMEで「放物」ごときが変換できないので、単語登録しました。)

投稿: ごんざぶろう | 2005年6月27日 (月曜日) 23:33

(3)に自信がないのです。
重力一様という条件では物体の軌道が放物線になるのは、数学的には厳密に正しいですよね。
高校物理で出てくるような地表付近で重力一様が近似だというのは、重力が距離依存で地球が大きさ有限の重力源だと知っていれば当然ですが、一様平板で無限に大きい天体上なら重力一様は近似ではないわけです。
一方、楕円を近焦点(正式な数学用語を忘れてます)付近で放物線で近似するのは、重力の性質等とは全く無関係にできることです。
範囲が狭いという条件で近似がなりたつのは同じなのですが、近似の仕方に関連があって同じ条件になっているのかは自明ではないと思います。
さらにいうと、範囲が狭いだけなら楕円を放物線で近似する必然性はなくて円で近似してもいいような気もします。

問題の図の間違いは一様重力下での放物運動との混同、というのはそうだと思うのですが、高校で習う放物運動が楕円軌道の近似というのは一様重力近似と等価だとしても、地表付近の落体の運動と万有引力の関わりをどう教えているのかにもよるのではないかとも思ったのです。


投稿: おーの | 2005年6月28日 (火曜日) 23:30

(はじめに。)
「近焦点(正式な数学用語を忘れてます)」>今回の問題は、一部だけ地上に出た楕円軌道なので遠い方です。私も数学用語では知らないので、軌道力学の用語で「遠地点(apogee)」か「遠点(apoapsis)」と呼ぶことにします。


さて本題、気になったので、検算してみました。いままでのコメントでは形状の近似しか述べていませんでしたが、運動の近似として論じるため、時間の関数としてXY座標値で表し、遠地点近傍の運動を4次までテーラー展開してみて、多項式の係数を比較してみました。すると、離心率が0に近いときは等速円運動で近似したほうが精度がよいですが、離心率が1に近くなると重力一定の放物運動のほうが、精度よく広い範囲で近似できることが確かめられました。本当は式を載せるべきなのですが、書きにくいので、結論だけで勘弁願います。


蛇足
これはまだ検算していなくて予測ですが、離心率の大きい楕円の近地点側の運動の場合、見かけの形状は放物線近似のほうが合うでしょうが、運動としては円軌道近似のほうが精度が良いと思います。そのうち計算してみます。

投稿: ごんざぶろう | 2005年6月29日 (水曜日) 02:18

本題からはずれますが、近地点と思ったのは、本当は地球をはさんだ反対側の遠方までのびている楕円を地表と交差したところで切ってあるのかと思ったからです。

投稿: おーの | 2005年7月 1日 (金曜日) 22:57

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