Blogは大流行していて、皆さんご存知でしょうが、Wikiの方は知名度がいまひとつ。一番有名なWikiは、みんなで作る百科事典プロジェクトのウィキペディアかな。
説明しますと、BlogもWikiもCMS(コンテンツ管理システム)と呼ばれる技術の一種。従来型のウェブサイトの更新はHTMLファイルを編集してアップロードするのに対し、CMSではウェブブラウザ上で編集し、コンテンツはデーターベースされて保存されるのが特徴。(すべてのCMSを知っているわけではないので、この説明は厳密でないかも知れませんが、まあ「おおむね」こう思ってください。)
Blogは日記のような時系列な記述が得意なのに対し、Wikiは事典のような体系的&ランダムアクセスな記述に適しています。そのうえ、使い方の柔軟性がひろく、掲示板,データベース,グループウェアのようにも使えます。
はじめにWikiの導入を考えたきっかけは、九大キャンパス移転に関するデータファイルの、学科内の取りまとめに苦労したとき。移転推進本部から頻繁に来る、図面や物品表のテンプレート・ファイルを各研究室の担当者に配布し、編集してもらって集め、まとめて本部に送る作業です。当初は、メール添付ファイルでやりとりされていましたが、MB単位のファイルが添付されたメールが多数、私のところに集中した結果、メールの保存フォルダが1GB以上に肥大したせいで、メールソフトの動作が徐々に鈍重になってゆきました。そのうえ「ファイル差し替えです」というメールも五月雨式にやってきて、どれが最新か分かりにくいのです。
そこで昨年の10月ごろ、OS非依存なファイル共有方法として、まずは単純なftpとhttpでする仕組みを作ってみました。専用のアカウント名を作り、~/public_himl/を公開するが、学科内のみにアクセス制限するよう .htaccess で設定する。そこからダウンロードしてもらって、記入済みのを別フォルダにアップてもらう。差し替えは各担当者にやってもらう。提出締切日にアップロードフォルダに集まっていたファイルをまとめて、本部に提出する。これで、前よりは楽になりました。先に提出した人のを見せてもらって記入の参考にできるのもよかった。問題はftpの敷居がちょっと高いことと、クライアントによっては日本語のファイル名が化けることがあったこと。(いま考えれば、多OS対応のLAN接続HDDを買えばよかった)
それから、昨年の11月ごろWikiのことを知り、これは使えそうだとひらめきました。Wikiの基本機能である、「だれでも編集できる」「ページにファイルを添付する」を使い、まず作業内容を説明したページを作り、そこに元となるファイルを添付して配布。提出用ページを別に作り、提出はそこに添付してもらう。これがうまくいったところから、私のWikiブームに火がつきました。
12月のUNISECワークショップでも、プレゼンファイルを事前に集めておいて、できるだけ1台のノートパソコンで済ませて、プロジェクターの繋ぎかえの時間ロスを減らそうと目論み、ワークショップ用のWikiを作ったのですが、アナウンスが直前だったので、たしか2~3件しか事前提出はありませんでした。せっかく作ったので、その後、CanSat福岡カムバックコンペのムービーや感想集をここに置きました。
以上、2つの応用例ではFreeStyleWikiというWikiエンジンを使用しました。これはperlで書かれていて、うちのサーバーに簡単にインストールできたから。
さらに味をしめ、研究室ウェブサイト自体もWikiにしようと企みました。なぜなら、つねづね皆で分担して更新して欲しいと思っていたのに、従来のHTMLベースのサイトだと敷居が高いのか、なかなか更新してくれなくて。QUEST,CanSat,デブリなど個別プロジェクトのページは数年前から手付かず。とりあえず、発表論文リストやメンバーリストは、私がちまちま更新していたくらい。WikiならBlogと同程度に気軽に更新できます。
しかし、旧サイトのコンテンツを移植して作り始めてみると、FreeStyleWikiではレイアウトの自由度が低いのと、どうも画像の表示が遅いので途中で作業を止めました。
それから、他のWikiエンジンを比較検討しました。選んだのは、PHPで書かれ多機能で高速なPukiWiki。ページ内の「新規」「編集」などのユーザーインターフェース部品が、簡単に英語表示に切り換えられるのもGood。(FreeStyleWikiも次期バージョンで検討中らしい)
さて、研究室のサーバーにはPHPが入っていなかったので、4月5日にまずPHPをインストールするところから開始。そしてPukiWikiのインストールも上手く行き、コンテンツの移植を行いました。デブリや衛星設計コンテストなど、ほとんど1枚きりのページだったものは完全にWikiにコンバートしましたが、QUESTやCanSatなど、HTMLコンテンツが力作のところは、そこへリンクさせているだけです。4月8日には見せられる状態になり、リニューアル公開しました。その後も、後回しにしていた英語版やOBリストなどを、暇をみて書き加え、5月中旬にはほぼ落ち着きました。
しかしまだ私以外、ナルミ君しか編集した痕跡がないなぁ(泣)
キャンパス移転のファイル共有Wikiは、セキュリティ設定機能の関係で、FreeStyleWikiの方が適しているのでそのまま。
UNISECワークショップ関係のWikiは、PukiWikiに移植し、研究室のPukiWikiの1ディレクトリとして移設しました。(リンクされていた方々、お騒がせしました。)
思うに、大学の研究室のウェブサイトは
- 多人数による管理
- 研究テーマ別に階層化したコンテンツ
- アウトラインと箇条書きと図表ていどで済む内容が多い
- 過剰な飾りは要らない、質素でも意味のある情報の充実を
(私の好みですが、娯楽サイト以外で、入り口に重いアニメーションや音楽のあるサイトは嫌い) - ウェブ管理は本業ではないので、導入や維持に、金銭的・人的なコストはかけたくない
という性質から、Wikiは研究室のサイト構築・維持に適したCMSだと思います。
→ PukiWiki公式サイトの「研究室でのPukiWiki活用事例」リンク集
こんなに便利なWikiが、Blogに比べて流行っていないのは、無料のレンタルWikiがまだまだ少ないからでしょうね。とりあえず始めてみたいかた、このへんから探してみてください。
→ WikiFan:Wiki無料レンタルサイトについて
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6月28日 追記
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050627-00000027-imp-sci
ライブドアがWikiを提供するそうです。
7月7日から→ http://wiki.livedoor.jp/
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