ロケット観望シミュレーション
というわけで、ロケット打上の見え方を計算するExcel書類を作ってみました。
「Tracking.xls」をダウンロード
観測地の緯度と経度を入力すれば、任意の地点からの見え方をプロットできます。計算にあたって、機体の緯度・経度・高度の3次元情報が欲しいのですが、あいにく今回の7号機で十分な情報は見つけられませんでした。代わりに、似た経路で打ち上げた3号機のデータを入れてみました。参考程度にはなるでしょう。
鹿児島、大阪、東京の計算結果をお見せします。途中の曲線がいびつなのはデータ点が少ないためです。ほんとうはもっと滑らかになります。また、グラフの縦横の縮尺は自動にしていて、横の方が縮められています。実際の見た目の形状はもっと横長になります。
オレンジの線がブースター燃焼中。炎は明るく、白煙が残ります。
太い白線がその後の第1段の燃焼中。排気は透明に近く、彗星のように見えます。
細い白線が2段目の飛行。自分で見ていないのですが、たぶん暗いでしょう。
図中の用語の説明
SRB:固体ロケットブースター(大きい方)
MECO:第1段主エンジン停止(1段目分離はこの直後)
SECO1:第2段エンジン1回目停止
方位角:東が90度、南が180度、西が270度
仰角:水平線が0度、真上が90度、マイナスは水平線下で見えません。
3号機と7号機の主な違いについて、以下に留意してご覧下さい。
(1)打ち上げた方位が、3号機は方位角90度(真東)、7号機は102度(やや南)なので、3号機の方が若干本土の近くを飛行し、見やすくなっている。
(2)3号機は固体補助ロケット(SSB)が4本で、7号機は2本。
(3)SRBの分離が3号機の方がだいぶ早い。
(4)3号機は衛星2基搭載で、上部フェアリングと下部フェアリングがある。図中「フェアリング」と書いたのは上部フェアリングのほうで、このタイミングは7号機のフェアリング分離とだいたい同じ。
【技術的解説】
3号機の「追跡管制計画書」には、各イベント時の飛行距離と高度の表があります。このデータをもとに以下の仮定をして、球面三角法で緯度・経度に換算します。
仮定1:打ち上げた方位から変針しない→軌道面内のみの運動とする
仮定2:打上直後の短時間に限る→地球の自転は無視
仮定3:地球は完全な球体モデルで偏平性は無視
仮定4:データが少ない区間は直線で補間
それから、観測地の局所水平面を基準にした[東,北,上]のデカルト座標での相対位置に変換。最後に、相対位置座標値から、方位角・仰角を決定してプロット。方位角の0度と360度をまたぐ場合の処理は省略しているので、飛行経路の南側(小笠原など)から見ると変になります。
飛行データのシートを更新すれば、他の打上にも使えるので、今後のロケット見物の支援用にもいかが?
距離・高度を3号機のデータのままでも、打上方位を102度にすれば、7号機に近くなるでしょう。南に向けて打てばALOSやIGSに近くなるでしょう。
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