スペースデブリのCG
1月23日の朝日新聞に、スペースデブリのニュースが載り、うちの助教授が作成したCGが引用されました。その日の、研究室のウェブサーバーへのアクセス数は、通常の2~3倍。検索ワードは「九州大学&スペースデブリ」など。
ちょうどプラネテスの地上波放送で、「デブリ」の知名度・関心が高まっているのでしょうね。ブログでも結構引用されているようです。
検索例 (いくつかトラックバックを送らせていただきました。)
新聞紙面やasahi.comに載った画像を紹介している記事もいくつかありましたが、asahi.comの掲載画像は小さいしぼやけて色分けも良く分からない。それに記事へのリンクもそのうち切れるので、ここで高解像度版をお見せしましょう。これを引用する時は、画像下部のコピーライト表示を消さないで下さいね。
2005年2月5日の日本時間正午のデブリ環境を日本上空から見た様子を、800×600pixelのpngファイルにしました。クリックすると、別ウィンドウで拡大表示します。
青色:稼働中の衛星
水色:稼働していない衛星
黄色:上段ロケットボディ
赤色:それ以外のデブリ
朝日新聞に掲載されたのは、一般向けに危機感を煽るような密集した低軌道の画像だけでしたが、宇宙工学の知識のある人なら静止軌道まで見ると興味深い分布が見えてきます。
生きている静止衛星は整然と赤道面に並んでいて、死んだ静止衛星は月や太陽の引力による摂動で、少し軌道傾斜を生じているのが見えます。動画でお見せできないのが残念ですが、これらは赤道を挟んで1日周期でうねるような運動をし、生きている静止衛星に対し、南北方向からぶつかる可能性があります。
北極の方に4万kmくらいまで膨らんで分布しているのが、モルニア衛星。
低軌道と静止軌道の間にあるのが、GTOのロケットボディや、GPSの衛星。「きく6号」や「つばさ」もこの中にいるはず。
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ところで、元ネタのニュースで「国連で対策を協議」などというと綺麗に聞こえますが、ロケットや衛星にデブリ発生対策を施す余裕のない、新規参入国や大学やベンチャー企業を宇宙開発から締め出す恐れもあります。(このニュースの翌日、某先生との談話から)
似たようなことが、核拡散防止や、CO2削減でもありましたね。先進国が開発完了/対策完了してから、おもむろに規制をかける。
どの例も、対策は必要だけれども、大国・先進国のエゴにならないよう、舵取りが難しいですね。
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追記
そうなったら「宇宙防衛戦線」が出てきそう↑
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コメント
TBありがとうございます◎
>1月23日の朝日新聞に、スペースデブリのニュースが載り、うちの助教授が作成したCGが引用されました。
そうだったんですね!?びっくり。しっかり画像使わせてもらってました。改めてありがとうございます!
>対策は必要だけれども、大国・先進国のエゴにならないよう、舵取りが難しいですね。
その通りですね。考えさせられました。
またちょくちょく伺いますのでよろしくお願いします。
Peace★
投稿: o_chanclassics | 2005年2月 5日 (土曜日) 21:37
TB有難うございます☆有難うございます!
再び、ブログの凄さを実感しました!
>うちの助教授が作成したCGが引用されました。
→そうでしたか。有難うございます!新聞版のほうを使わせて頂きました!
ココには「高解像度版」CG等もあり、
感激しながら興味津々で読ませていただきました。
色や分布まで見れると、考えも変わってきますね。
宇宙工学の知識はありませんが(^^;)
>対策は必要だけれども、大国・先進国のエゴにならないよう、舵取りが難しいですね。
そうですね。これからどのように対策をとっていくか、見所ですね!!
投稿: MINMINセミ | 2005年2月 6日 (日曜日) 12:45