ある、メーリングリストで、新潟中越地震の被災者からの、救援を求めるメールが転送されてきました。この期に及んで、かなり冷たい意見ですが、これは典型的な善意のチェーンメールの発生過程でした。ここからさらに伝播することを避けるため、全文は載せません。概要はこうです。
・現地マスコミへの批判
・政治家の視察への批判
・○○は足りている。△△を送って欲しい。
・送り先として小千谷市役所の住所
・これをあなたのHPやblogで伝えてください
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このメールの不備は、
- いつの情報か不明→状況が変わっても、延々と△△が届くかも。
- 原文の発信者の連絡先が不明。
- 転載者も、これを広げてくださいと煽っている。
無論、これは緊急事態で、チェーンメール化による長期の(危険でない)迷惑よりも、いますぐの救援による利益の方が大きいとは思う。しかし例えば、古くなった情報が流れ続け、延々と△△が届いたら、つぎに必要になった●●の到着を阻害するなど、救援の効率を低下させる可能性がある。
また、長期のリスクを我慢してでも、当座の救援のほうを重視するなら、発信者は氏名と連絡先を載せるべきでしょう。発信者の情報があやふやで、届け先だけ実在の公的機関というのは、
『Rh-の輸血者を探しています』や
『国連に署名メールを』といったチェーンメールと同じで、その機関にあとあと迷惑がかかります。このメールでは、この発信者は市役所の人なのか、一般人なのか不明でした。
さらに思うのは、原文の発信者は極限状態であろうから、文面にチェーンメール化の要因をはらむような不備があるのは、やむを得ないと思う。このような緊急事態では、転載者の方が慌てず冷静にフォローするべきです。たとえば、原文に正確な時間情報がなくても、「XX月XX日に受信したものです」と添えるだけでも、ましになります。今回はそれもなかった。なお、
『処分される子犬を助けて』メールの「今週中」のような相対時間はチェーンメールになったら無意味です。
以上、冷たい意見を書きましたが、新潟県出身ということもあり、これから冬を迎える被災者が心配でなりません。一般的に新潟県人は「無口(口下手)」「我慢強い」と言われますので、被災者の要求がマスコミには乗りにくいかもしれません。災害時にインターネットでの草の根活動の情報は貴重ですが、善意が無駄にならぬよう、よく確認して行動しましょう。
(以上11/1未明記す)
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11/1午前:追記
うーん、検索してみたら、すでにけっこうな数のwebページに転載されていますし、↑これでは私も人の役に立たないので、私なりに、最善と思うかたちに情報を整理して載せます。なにか不備に気付かれましたら、どうぞコメントやメール投稿でご教示お願いします。
10月30日午後に「環境共育を考える会」のメーリングリストに転載されました。
原文の発信日時は不明です。
発信者の氏名は分かりますが、公開の可否は不明なので、私には書けません。
発信者の連絡先は不明です。
発信者は「小千谷市役所、小学校での救援物資の配給や炊き出しなどを手伝っている」とのこと、なのでその周囲での要望でしょう。
正確な日時は分かりませんが、10月30日以前のある時点での現地情報として、
(1)「大人用の紙おむつ」が不足しています。「赤ちゃん用の紙おむつ」は足りています。
(2)トイレが使えなかったり、下着を替えられなかったりするので「パンティ ライナー」があると重宝します
(3)お年寄りは使い捨てカイロをもむことすらできないので「貼るカイロ」が必要です
(4)救援物資を種類別に分けて配布する人出がありませんので
(4-1)段ボールには、外側に「毛布」「洋服」「下着」など中身を大きく書いて貰えると助かります。
(4-2)靴下1足下着1枚でも有り難いのですが、もし出来ればご近所の方と声を掛け合って、ある程度まとまった数があるととても助かります。
(5)送り先は小千谷市役所 |
これは11月1日現在、2日以上前の情報ですので、鵜呑みにすることは避け、何か送るにも、転載するにも、できるだけ最新の現地情報を確認して行動してください。 |
(追記:後述してあるよう、原文は10月26日の発信でした。情報としては古いので、チェーンメールとして広めないでください。ただ私なりに考えた転載例文として、残しておきます。)
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11/1午後:追記
その後、転載者から続報で、「新潟県庁支援物資紹介窓口 電話:025-280-5978」というのを紹介されました。現地が欲する物を確認するにも、全国から小千谷市役所に直接問い合わせたのではかえって迷惑でしょうから、こういう窓口に確認するのがよさそうです。私自身は、被災地から遠く、物を送るのは効率が悪いと思うので、義援金にしようと思っています。(台風被災地にもね)
ところで、webに転載されているものの中には、原文中で最も笑止なくだりである、あきれた政治家視察のエピソードだけ引用して、発信者がいちばん伝えて欲しかった希望物資の話を割愛しているのも多々あります。それも言論の自由ですが、なんだかなあ。正直、私も当初そのショッキングな話に関心が引かれたのですが、このエピソードが、「みんなにも知らしめたい」というチェーンメール化の原動力となってしまっています。原文中に「一体何の為の視察なんでしょう?」と嘆いてありますが、「一体誰の為の転載・引用なのでしょう」と問いたい。
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11/1夕:追記
ここまで読んでくれたかたは、チェーンメールにならないよう気を付けてくれると思いますので、原文を見てみたい方のためのヒントを挙げます。「政治家 仮設トイレ 小千谷」で検索。
「小千谷 チェーンメール」でも検索したところ、この原文は10月26日15:00発信との情報をみつけました。現在必要な物資は変わっていておかしくありません。
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