訃報:Fred Whipple博士
8月30日にFred Whipple博士が永眠されたそうです。享年97歳。
BBCニュース
天文学の人には、彗星の正体を「汚れた雪玉(dirty snowball)」と予見した天文学者として有名でしょう。(日本ではなぜか「汚れた雪だるま」と訳されることが多い)
私のような宇宙工学の者には、スペースデブリや宇宙塵から宇宙船を守る、ホイップル・シールド(あるいはホイップル・バンパー)の発案者としても知られています。
1986年には、ESAの彗星探査機Giottoがホイップル・シールドを装備してハレー彗星に突入し、彗星核の撮影に成功。仮説だった「汚れた雪玉」説を証明しました。
現在飛行中のNASAの彗星サンプル・リターン探査機Stardustも、もちろんホイップル・シールド装備。この探査機には100万人以上の名前がマイクロチップにエッチングされて搭載されているのですが、Whipple博士からの手紙も書き込まれているとのこと。
今日では、ホイップル・シールドは探査機のみならず、宇宙ステーションの防護のためにも、なくてはならない技術となっています。
参考:JAXA「きぼう」モジュールの衝突試験
天文学・宇宙工学に多大な功績を残したWhipple博士のご冥福をお祈りします。
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