X-43A
The unpiloted vehicle's supersonic combustion ramjet, or scramjet, ignited as planned and operated for the duration of its hydrogen fuel supply. The X-43A reached its test speed of Mach 7, or seven times the speed of sound.
具体的な速度を知りたくて計算してみました。
地上での音速は約340m/sですが、問題は音速は気温の平方根に比例して変化するということ。そのためまず気温を見積もります。
高度95,000ftとのことなので、メートルにすると約28956m
↓
理科年表の「標準大気」の表で見ると、
高度28000mで気温-46.5℃、高度30000mで気温-48.5℃
線形補間すると高度28956mで気温は約-47.5℃。絶対温度では約225.6K
↓
音速の理論式は√(κRT)
κ:空気の非熱比は1.402
R:空気の気体定数は287.1J/kg K
T:気温は225.6K
これらを入れて計算してみると、この飛行高度での音速は約301.3m/sとなりました。時速にすると約1085km/hですね。
M7だと約7600km/hか。
さて、10秒間の推進でM4.5からM7に加速というと、単純計算だと
(7-4.5)*301.3/10=105.5m/s2
Gでいうと10.8Gの加速!・・・すげえ。
ただ、ちょっとニュースの表現が気になります。私が見た範囲ですが
「ペガサス・ブースターからの分離時がマッハ4.5」
「その後の自由飛行中の10秒間、自力飛行した」
「最高速度はマッハ7を達成」
こうなので、10秒間の推進の直前・直後の速度が、M4.5とM7とは言っていません。NASAの原文をもう少し詳しくあたってみようと思います。
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3月31日午後 追記
あれれ、
読売では
「ロケットの噴射で高度3万メートル、マッハ4・5にまで達した後、ロケットから分離して約10秒間にわたり自力飛行した。」
WIREDでは
「ブースターロケットでおよそ時速5600キロに加速されたX-43Aは、その後(ブースターから切り離され)、音速の7倍をわずかに上回る最大時速8000キロメートルあまりに達したという。」
だけど、NASAのページでは
Plans call for launch of the Pegasus booster from the B-52 at about 2 p.m. PST to accelerate the X-43A to its intended speed of Mach 7.
・・・ブースターでマッハ7まで加速って書いてあるぞ。
JAXA角田宇宙推進技術研究所の最近の成果でも、かろうじてプラスの推力が出た、つまり吸い込みの抵抗よりわずかに大きい推力が出て、一応加速できる、というレベルだったはず。
相手はNASAとはいえ10Gは出すぎだろう?さて真相はいかに。
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4月2日午後 追記
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コメント
トラックバック&コメントありがとうございます。
ラムジェットとスクラムジェットの説明判りやすかったです、ところで、
○超高速機用試作エンジンJAXAへ譲渡
http://akisa.cocolog-nifty.com/blog/2004/03/jaxa_1.html">http://akisa.cocolog-nifty.com/blog/2004/03/jaxa_1.html
の記事ででているESPRの超高速機用試作エンジンは、スクラムジェットに分類していいんですか?
前段の可変サイクルエンジンで吸気を圧縮しているようですが?ただラムジェットを使用している時はサイクルエンジンを使用してい無い様にも読めます。
投稿: 神子秋沙 | 2004年4月 3日 (土曜日) 17:26
コメントありがとうございます。実はESPRの存在は、今はじめて知りました。ESPRのサイトをみてみると、ESPRの分類は従来型の「ファンジェット」のようです。(参考 http://www.espr.jp/j-5.htm)
これはマッハ2.2のSSTを想定していることからも妥当で、ただコンコルドとかの従来機にくらべ進歩した点は、低騒音・低汚染が売りのようです。
>ラムジェットを使用している時はサイクルエンジンを使用していない
これはESPRの前身の、HYPRについての説明ではないでしょうか。
http://www.espr.jp/j-3.htm
これはマッハ5ぐらいまで考えていて、ターボジェット~ラムジェットの可変のようですね。まだスクラムではないはずです。
投稿: ごんざぶろう | 2004年4月 3日 (土曜日) 20:42